なぜ委中は腰痛の特効穴なのか?
2026年03月30日
こんにちは!
山梨県甲府市伊勢のいのうえ鍼灸整骨院です。
なぜ委中は腰痛の特効穴なのか?膝裏のツボが腰に効く理由
腰痛の特効穴として「委中」という
膝の裏のツボが有名です。
「腰が痛いのに、なぜ膝裏のツボを使うのか?」
この疑問は私も鍼灸の学生時代に抱えていたものでした。
実は、膝の裏にある「委中(いちゅう)」というツボは、
古くから腰痛の特効穴として知られています。
今回は、なぜ委中が腰痛に効果的とされているのかを、
東洋医学、解剖学、筋膜の観点から解説していきます。
「腰背は委中に求む」古典に記された腰痛の特効穴
委中が腰痛の特効穴とされる理由は、古代の中国の書にさかのぼります。
東洋医学の原典である「黄帝内経(こうていだいけい)」の一節に
「腰背は委中に求む」とあります。
これは「腰や背中の不調には委中を用いる」という意味です。
つまり、2000年以上前から委中は
腰痛に対して使われていた歴史のあるツボなのです。
東洋医学ではこのように
歴史、経験的に特効穴とされるツボがあります。
その中で「委中」は腰痛の特効穴とされ
昔から現代に至るまで腰痛の治療点として使われております。
委中の場所
委中は膝の裏の中央部分にあります。
「足太陽膀胱経(ぼうこうけい)」という経絡に属しています。
足太陽膀胱経は
眉間の辺りから始まり
背中→腰→臀部→大腿の裏側→膝の裏(委中)
→ふくらはぎ→足の小指側
という走行をしています。
このことから、委中は腰を通る足太陽膀胱系のツボに属しており、
腰の状態に影響を与えやすい場所と考えられます。
東洋医学では、痛みのある場所だけではなく
その痛みのある部位に関連する部位への施術を行う
「遠隔治療」という施術のやり方があります。
委中は腰痛の遠隔治療の代表的なツボといえます。
なぜ膝裏なのに腰に効くのか?解剖学的に紐解くと…
現代医学的に見ても、委中が腰に影響を与える理由があります。
膝の裏には
腰椎から出てくる坐骨神経の分枝である
・脛骨神経
・総腓骨神経
などが存在し
また、膝窩動脈という動脈も走行しています。
先程も書いたように
脛骨神経や総腓骨神経の大元は坐骨神経であり
その点から腰部への関連が大きいと考えられます。
委中を刺激することで
脛骨神経や総腓骨神経に刺激が起こり
逆行して、坐骨神経や腰部にも影響が出ることが考えられます。
実際に委中に刺鍼をすると
脛骨神経の存在する
膝窩からふくらはぎ、足底部まで
ひびくような感覚を得ることもあります。
また、ゲートコントロール理論という痛みの抑制機構も関与します。
末梢からの刺激が脊髄レベルで痛みの伝達を抑制し、
腰痛の軽減につながると考えられています。
このゲートコントロール理論は鍼灸刺激のみならず
当院で用いる電気刺激系の物理療法でも
痛みの抑制を起こすメカニズムとして考えられます。
アナトミートレインから見る委中と腰痛
近年ではアナトミートレイン(筋膜の繋がり)からも説明されています。
身体の後面には
足底→ふくらはぎ→大腿裏→骨盤→腰部→背部
という筋膜のラインが存在します。
これは「スーパーフィシャルバックライン」と呼ばれる筋膜の走行です。
委中は膝の裏にあるため
このラインの中継地点にあたります。
そのため、委中を刺激することで後面全体の緊張が緩み、
腰痛の改善につながると考えられています。
他にもある腰痛の特効穴
委中以外にも腰痛に対してよく使われるツボがあります。
・腎兪
・大腸兪
・志室
・腰陽関
・腰眼
などが代表的です。
また、意外なことに手の甲にも腰痛の特効穴があります。
それが「腰痛点(腰腿点とも言う)」と呼ばれるツボです。
手の甲ツボが腰痛に効く理由としては
・神経反射
・脳のマッピング
・先ほど挙げた遠隔治療
などが考えられています。
また、手の甲に鍼はなかなかな強刺激であり
その刺激によって鎮痛効果が出やすいとも考えられます。
脳のマッピングとして
手は脳内で占める感覚領域が広いため、
刺激による鎮痛効果が出やすいとされています。
遠隔のツボを使うことで
・筋緊張の緩和
・血流改善
・神経調整
などが起こり、結果として腰痛が軽減されることがあります。
実際に、ぎっくり腰の患者様に委中へ施術したところ、
その場で動きやすくなるケースも少なくありません。
まとめ
膝裏にある委中が腰痛に効く理由は
・東洋医学ツボの流れ
・神経反射
・筋膜のつながり(アナトミートレイン)
・脳の鎮痛作用(ゲートコントロールなど)
など、様々な要素が関係しています。
腰が痛いのに膝裏を施術するのは不思議に思われるかもしれませんが、
身体はすべてつながっています。
当院では痛みのある場所だけでなく、
こうした全体のつながりを考えながら施術を行っています。
腰痛でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

